歯科医院はできるだけ行きたくないところだと多くの人が思っています。子供の頃に虫歯を削られて嫌な思い出があったり、痛みや削る際の音に抵抗を感じる人も多いでしょう。けれども、歯科医院というのは、うまく活用することで決して痛いだけの場所ではなくなります。定期検診といって、特に問題が無くても、定期的に受診し、お口の中の状態が悪くなっていないかをチェックしてもらいましょう。
そうすることで、虫歯があっても初期の段階で治すことができ、結果的に痛みもなく治療することができます。検診の目安は、大人であれば半年に1度、子供は虫歯になりやすいので3~4カ月に1度になります。問題がなければ、1回の受診で終わりますし、歯石などが付いていてもすぐに除去できます。結果として、治療費も安くなりますし、お口の健康を守ることにつながります。
歯科医院では、治療の他にも、歯の磨き方の指導など様々なことを行っています。きちんと受診することで、自分が磨き残してしまう部位などを確認できます。歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスといった補助的なアイテムの使用方法なども教えてくれるので、お口の中全体を自分できれいにすることができるようになります。歯科医院では、歯をできるだけ削らないように治療を行っています。
1度削ってしまった歯は、2度と元の状態に戻らないためです。少し前までは、削ったところには銀歯を詰めるというのが一般的な治療でした。けれども、最近は削る範囲を小さくして、白い樹脂を詰める治療が行われるようになりました。銀歯の場合は、外れないようにするために、虫歯になった部分より大きく削る必要がありましたが、樹脂ならば虫歯のところだけ削るだけで済みます。
おまけに、銀歯の場合は、削って型取りをして、技工所に送って作ってもらったものを、次の受診日に装着するため、2回の治療回数が必要でした。樹脂の場合は、削ったその場で詰めることができ、来院回数を減らすことができます。樹脂はとてもいい治療法なのですが、デメリットもあります。プラスチックのような素材なので、長期間使用しているうちに変色することがあります。
また、金属程強度が無いので、噛んでいるうちに割れてしまうこともあるので注意しましょう。削る範囲が大きくなると、強度の面から樹脂では対応できず、銀歯になってしまうこともあります。お口の状態に合わせて選ぶ必要があり、歯科医師と相談して決めましょう。歯科医院は虫歯を治すところだと多くの人が思っていますが、最近は見た目をきれいにする治療を積極的に行っているところがあります。
審美歯科と呼ばれるところです。虫歯になっても見た目の悪い銀歯を使うことは一切なく、より自然な美しさが得られる治療を行っています。審美歯科では、樹脂も使用しません。変色の心配があるためです。
セラミックなどの、長期間使っても変色せず、きれいな状態を維持できる素材を使用しています。セラミックは差し歯にも、詰め物にも対応できるので、治療範囲が広いです。さらに、歯を白くするためのホワイトニングも行われています。人間の歯は、年齢とともに黄ばんで行ってしまいますが、ホワイトニングでは特殊な薬剤を使用することで、歯の内部の色素を分解して歯を白くします。
歯だけでなく、黒ずんでしまった歯茎をピンク色にするという、歯茎のホワイトニングも行われるようになりました。よりきれいに美しく治したいという患者さんの希望を叶えるのが、審美歯科です。歯の変色なども、ラミネートベニアという付け爪のチップのようなものを表面に貼り付けることで、見た目を改善することができます。口元にコンプレックスがある人にこそ受診してほしいところです。
歯科の病気でこわいのは虫歯だと考える人が多いです。けれども、歯を失う理由は虫歯よりも歯周病で抜けるという人の方が多いです。歯周病は、成人の80%がかかっていると言われるほどの病気ですが、痛みが無いままに進行していくので、自分でも気づかないという人が多いです。そこで、歯科医院に行って歯周病の検査をしてもらいましょう。
歯周病の初期段階は、歯茎が腫れていきますが、だんだんと炎症が進むと、歯を支える骨が溶かされてしまいます。だんだんと、歯茎から出血だけでなく膿がでるようになり、口臭もでるようになります。骨がしっかりと歯を支えられないので、歯が浮いたような感じや、グラグラするという状態になると、進行している証拠です。歯磨きをする際に、出血するようであれば、歯周病になっている可能性が高いです。
初期段階であれば、歯石を除去し、お口の中をきれいにすることで状態は改善します。重症化してしまうと、なかなか自分では治すことができず、自然に歯が抜け落ちてしまうことも考えられます。歯周病であるかどうかとうのは、歯科医院に行けばすぐに調べることができます。早く治療すればするほど、元の状態に戻る可能性が高まります。
かかりつけの歯科医院があるという人は意外と少ないです。痛くなったら、近所の歯科医院に駆け込むということを繰り返していて、最後まで治療を受けないでいると、お口の状態はどんどん悪化してしまいます。かかりつけの歯科医院があれば、今までのお口の状態や治療の流れがカルテに残っているので、状態を把握しやすくなります。患者さんとしても、知らない先生と話すよりも、いつもの先生と話した方が、緊張がやわらぐでしょう。
お口の中というのは、目で見て分かることが限られてきます。レントゲンなどを撮影して、内部の神経の状態が分かるという具合です。通いなれた歯科医院には、今までのカルテとともに、レントゲンも残されています。状態の悪い歯を追跡してみていくことで、炎症が突発的に起こるのを防ぐこともできます。
自分のお口の相談ができる歯科医院を見つけておくと、いざという時にとても役立つでしょう。家族で同じ歯科医院に通っているということもありますが、とてもいいことです。お口の中の状況は遺伝的な体質なども影響するためです。子供の歯並びなどを考えている場合も、親の状態を見て判断することもあります。
ぜひ、かかりつけの先生を持つようにしましょう。歯科医院に行く前に、予約を取る必要があります。予約をすることで、患者さんの時間を確保することができます。初診の場合は、保険証を必ず持参するようにします。
問診票の記入があるので、予約時間よりも早く行くといいでしょう。子供の場合は、小児医療証なども忘れないようにします。歯科医院では、歯を削る前に麻酔を使うことがあります。麻酔をすると、痛みを感じなくなりますが、感覚がなくなるので、間違って噛んでしまったり、熱いものを飲んでヤケドを引き起こしてしまうことがあります。
お昼ごはんの前に治療を行うと、麻酔がきれるまでしばらく食べられないということがあるので、予約の際は時間帯に気を付けましょう。そして、持ち物ですが、口を拭くためのタオルやハンカチなどを持って行きましょう。必要であれば、化粧直しのためのアイテムを持って行っても構いません。初診の場合は、レントゲンなどの検査に費用がかかるので、少し多めの金額を持って行くと安心です。
予約を取ることもあるので、スケジュール帳などがあると、予定が分かりやすくなります。子供であれば、ぬいぐるみなど時間をつぶせるおもちゃを持って行くのもいいでしょう。快適に受診できるようにすると、緊張も減ります。